えのログ

人生五里霧中

高度経済成長期の風邪は果たしてアポイントを取ったのか

労働を終えて帰路につく電車でこんなキャッチコピーの広告をみた。
 
『風邪はいつもアポなし』
 
細かな文言はうろ覚えだけどまあこんなキャッチコピーだった。
たぶん風邪薬だろう。
アポなしとは迷惑な話だ。

 

風邪という時点で迷惑なのにアポなしとは、つまり夜中にいきなり
 
「きちゃった……(はぁと」
 
とか来るようなものである。
そもそも風邪は朝起きたら引いているなんて場合もあるので、
家でスヤスヤ寝ていたらいきなり自室に侵入して布団に入ってくるようなものなので、
もはやストーカーだ。こわい。
 
でも『風邪はいつもアポなし』、考えてみたいフレーズだ。
やはり風邪とか病気営業会社であってもノルマだとか争いがあるんだろうか。
おそらく風邪営業マンは主力ビジネスマンであることは間違いない。
病気=風邪といえなくもないぐらいには風邪は世の中に浸透している病気だからだ。
だからこそ逆風も多いのではないだろうか。
 
「風邪、どうも感染件数が伸びてないようだが」
「は、はい癌部長……」
 
風邪にじんわりと汗が浮かぶ。
やることはやっていたのだ、ただ、今年の人間の風邪予防はしっかりとしていて、
なかなか思うように感染ができなかった。
しかし、そんな言い訳をしようものならば「言い訳をするな!」とどやされるのがオチだ。
風邪は言われるがままになるしかなかった。
 
「インフルエンザ君は今年も好調だぞ、風邪も見習うんだな 」
「申し訳ありません……っ!」
 
謝罪をしながら歯をくいしばる。
インフルエンザがなんだってんだ、あいつは冬シーズンは好調だが他の時期はからっきしじゃないか。
オールシ ーズン苦労をしているのは自分じゃないか。
 
しかし、風邪は知る。インフルエンザの屈折した想いを。
 
「風邪さんにはわからないですよ、シーズンってだけでチヤホヤされる俺の気持ちなんて、いつだって成果を出している風邪さんには……」
「インフルエンザ……お前……」
 
……とかそんなことをやっているんだろうか。若干感情移入してしまいこのブログでプロジェクトエックスを始めようとしてしまったが風邪は風邪だ。
 心を強くもって手洗いうがいの殺菌消毒をしなければならない。
風邪に心を許したが最後、
 
 「きちゃった……(はぁと」
 
がオチだ。
こいつらは外面清楚系風邪なのだ。なんだろう外面清楚系風邪って。
 
ここまで書いて、インフルエンザはまだアポを取っているものなんだろうかと思う。
風邪は年がら年中アポなしだ。
 
「ちわーす三河屋でーす」
 
のようなノリで風邪をかける。
えのきは風邪に弱いのかめっちゃ風邪をひく。シーズン一回は余裕でひく。
三食食べて定時で帰って夜はちゃんと寝る生活でも風邪を引いたので
「体調管理も仕事のうち」という言葉はもはや仕事をしながらでは達成不可能である。全細胞が労働に向いていない。
 
話がずれた。えのきのブログは七転八倒五里霧中がモットーです。
風邪はとにかく年がら年中くるのと比較すればインフルエンザはある程度時間を予告するのだ。
 
「あ、お世話になっております。私、インフルエンザと申します〜。ええ、実はですね、そろそろ冬じゃないですか。
 私もそろそろご挨拶行こうかと思いまして。え! よろしいですか! それでは今伺いますね! ええ! 今!  」
 
 とでも言わんばかりに秒速でやってきて熱をあげるのだろう。
えのきは7年ほど前にきて以来お断りしている。
 
えのきの最古参は花粉症である。
小学校中学年頃からアポなしで訪問されて以来毎年春の付き合いだ。
きっと頑張り屋なのだろう。
 
「俺たちが若い頃はな? アポをな?」
 
なんて高度経済成長の風邪共に言われたものを真剣にメモって我が体内で活性化しているのだろう。
ここまで書いて秋花粉にここのところ苦しまされていることを思い出した。
これまでの文章が水泡に帰した。
花粉をこの世から消す魔王になりたい人生だった。
 
《完》