えのログ

人生五里霧中

アクの強い漫画の短編集。アッチあい先生『このかけがえのない地獄』を読んだ。

感情が強いキャラクターっていいですよね、えのきは強い感情が大好きです。狂気じみた執着みると思わずアルカイックスマイルになります。
あと倒錯した関係性ってよいですよね。えのきは倒錯した関係性が大好きです。共依存とかズブズブの関係性みると思わずアルカイックスマイルになります。
 
最近購入したアッチあい先生の『このかけがえのない地獄』ではそういう要素が摂取できてよかった。
このかけがえのない地獄 (電撃コミックスNEXT)

このかけがえのない地獄 (電撃コミックスNEXT)

 

 

 

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Twitterでこの画像が流れてきて圧倒的な百合力(ちから)に思わずこの本をポチったのだけど、これは『4番目のヒロイン』という収録されている短編の1ページ。
メタネタで「主人公に選ばれるメインヒロインになろう!」とメインヒロインになることを目指すヒロインがたくさんいるラブコメ漫画世界で、ラッキースケベに見舞われる役回りのヒロインのメグミが、バグで戦争漫画からやってきたヒロインの岬に現実を突きつけられるページが上記の画像。
いきなりラッキースケベ展開をばっさり切るヒロインに強烈な自我を感じるし、それをきっかけに「主人公くんに選ばれなくちゃ」と行動していたメグミがそれまで妄信的に魅力的だと思っていた主人公の魅力に疑問を抱いてしまって
 「……主人公くんってこんなこんな顔だったっけ……」
 って唐突に冷めるあたりが、「じ、自我の芽生え〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」って感じになってしまって強烈に良い。
「主人公と関わりが多くないとモブキャラになってしまう」という世界のルールから”主人公"とラブコメ展開をせざるを得なくなる岬に感情が暴走して唐突な行動を起こすメグミのラストには
 「おおお自我……自我だ……自我…自我……!!」と妙な感動を得てしまったので押し付けられる規定路線とか強制されるルールみたいのを打ち破るカタルシスを得たい人は読んでみると良いんじゃないでしょうか。百合的にも関係性が前半と後半でひっくり返るのが面白かった。
 
倒錯した関係性がとてもよかったのが『僕は彼女の彼女』

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クラスのマドンナ小清水と付き合えるようになった宮村を待っていたのは小清水の好みの女の子に女装して”小清水の好きな女の子”の代わりとして愛されるという展開だったという話。
えのき、歪んだ関係大好きなんですけど、その中でも代替品として愛されるってめっちゃ倒錯感あっていいんですよね。
好かれたい相手が自分を見ているはずなのにその視線の先には実は別の人がいて、それでも自分の方をみてもらえるからってズブズブしちゃうの、最高じゃないですか。最高だと思うんですよ。健康に良い。たぶんそのうち人間の寿命延ばす健康法としてノミネートされると思うんでえのログを読んでくれている人は覚えておいた方がいいですよ。

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そんな歪んだ関係の中でも宮村の力説は中々泣ける。宮村の心情もだけど、現実世界で世の中とちょっとズレを感じる時があったりするえのきとしてはとても刺さる。
歪んだ関係の中にまっすぐな感情があるというのがまた良さのある短編だった。
 
余談ですけどえのきは少女セクトでも想い人への感情を別の友人で解消するみたいな後味悪い話が好きでしたね。本当好きだなこういう話。少女セクトも良い関係性が凝縮なのでドロドロ倒錯百合関係みたいなのが好きな人は是非。
他にも『黙れニート』という短編ではパワーワードどころかパワーしかないページがあってえのきの心がへし折られたりした。やめてください死んでしまいます。

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えのきも働きたくないです。
 
結構尖ったワンアイデアで殴り抜けるような話が多くて、もっと広げられたような話もあるけれどそれだけ一個一個の話が濃厚なので大満足の一冊だった。
アッチあい先生について軽く検索したんだけど、Twitterとかブログとかもやってなさそうなんですよね。
かなり強烈な個性ある漫画を描く方だと思ったので他にも漫画が出たら追って読みたいところ。
何か情報知ってる方はTwitterでもブログのコメントでも教えていただきたいです。
 
そんなアクの強い漫画『このかけがえのない地獄』短編集なのもあってさらっと読めるので、眠れない夜とか暇な時にでもどうでしょう?
今日はこんなところで。
 
《完》