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人生五里霧中

“よだれ”で生まれる絆。植芝理一先生『謎の彼女X』の一巻がKindleで無料になっている

今日は短めに。
植芝理一作品が好きだったりする。
そして『謎の彼女X』の一巻が現在Kindleで無料なのでちょっと紹介してみる。

 

最初の連載の『ディスコミュニケーション』から女装少年や、女の子のブラを作ることに執念を燃やす生徒とかが出てくる漫画だったりと、色々と趣味がピーキーなニッチ作品を描いている漫画家なのだけど、この謎の彼女Xも同じようにニッチな設定の話だ。
 
主人公の椿君はある日転校生の卜部美琴の”よだれ”をなめてしまったことから恋の病にかかってしまい、
卜部のよだれを定期的に舐めないと高熱が出てしまう体質になってしまうという導入。
二人は一話で付き合うことになって、よだれをなめさせる/なめる関係=彼氏彼女みたいになるのだけど、そんな卜部に心惹かれていく椿君や、謎の彼女と題されるだけあって考えがさっぱり読めない卜部の関係性が面白い。

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よだれのコミュ以外は塩対応な卜部と思いきや意外と椿君に対して嫉妬深かったり、椿君も色々持て余したりするのだけど根本的に良い人だなあと感じる人間性が微笑ましくて、一巻でのピーキーささえ慣れれば青春ラブコメものとして楽しく読める。
 
正直なところ一巻時点だと色々全巻通して読んだ時の印象とちらほら違う場所があったりするのだけど……
個人的にはガワこそニッチな性癖話なのだけど同作者の『ディスコミュニケーション』のセリフ「どうして私は松笛君を好きになったのだろう?」というセリフから恋愛を色々な方向で弄ったように、『謎の彼女X』も根底にあるのは直球のボーイミーツガール話だったりするからだ。

 

一巻だと”よだれ”を強調したりだとか、ピーキーな面を見せるために最終巻付近だと卜部言わないんじゃない?みたいな一話の「私も処女なの…」のくだりとかが人に勧めるにはちょっと躊躇してしまったりする。
 
けれど、巻数が進むにつれて前提となる“よだれ”をなめさせる/なめるという二人の特別なコミュニケーションが、それがきっかけによだれを舐めることで伝わる感情や想いによって話が転がっていくのがラブコメとして秀逸だったりする。
よだれを介してのコミュニケーションでただニッチ産業な漫画でなく、それはそれとして真剣に二人の関係を描いているなと感じるのが二巻の『謎の記憶』という話だ。
主人公の椿君は母親を亡くしているのだけど、その墓参りに卜部と二人で行く話で、よだれを介して当時の椿君の感情を理解する卜部と、忘れていた感情を知る椿君という話が繊細さもあって好きなエピソードだ。
一巻で「面白いかまではわからないけど、まあ読めるな」って人はせめて二巻までは読んでほしいなあといったところ。

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卜部が椿君の母に挨拶をして、椿君の過去に触れるって回で良回だと思う。
 
それと病的なまでの作者の書き込みが「ア、アフタヌーン〜〜〜〜〜〜!!!」となって良い。
病的な書き込みのニッチな設定とたまに出る過去への繊細なセンチメンタル話な話作りが植芝理一作品の魅力だと思う。

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謎の彼女Xは良くも悪くも卜部の”謎”な感じを椿君が理解していくにつれてピーキーさだとか、病的な書き込みは減っていくのだけど、作者曰く
 
十七歳ーー思春期真っ最中の少年にとって、少女とは異質で不可思議で、いろんな意味で圧倒的な存在。
 
と一巻あとがきで書いているので、二人の関係が互いを理解していくごとに”謎”で無くなっていくのはわからない話でもないかなと。
個人的に最終回のまとめ方は青春ラブコメものとしてとても綺麗で、好きな終わり方なのでそのうちそっちでもブログ記事にしたい。
 
今日はこんなところで。無料なのもあって慌てて紹介したので魅力をつたえきれてないかもしれない……
ニッチな魅力の漫画ですが、『謎の彼女X』現在無料なので試しに読んでみてはどうでしょう。
 
《完》
 
あと卜部の三白眼が可愛いです。1~2巻ではまだそんなでもないけど段々三白眼化する。
メカクレ三白眼キャラが好きな人は読んでみてはどうでしょ。
ニッチな魅力の漫画ですが、『謎の彼女X』現在無料なので試しに読んでみてはどうでしょう。