えのログ

人生五里霧中

エヴァTV版見直し-第壱話『使徒、襲来』-逃げちゃダメだ

以前から買って持っていたのだけどウキウキでBDBOXを買っておきながら
 「誰がエヴァなんて見てやるか!」って拗らせた感情からしまいこんでいたエヴァを久々に棚から取り出して見ている。
Twitterで実況していたのだけど、実況したいことにツイートが追いつかなくなったのでブログに書いていく。
今更エヴァの感想なんて需要ねーよとは思うけど、まあ、自分用の記録として。
 
第壱話『使徒、襲来』

 

・2015年

時に、西暦2015年

すでに三年前……一体えのきはいつまでエヴァを見ているんだ……

 

・ 夏のイメージ

『時に、西暦2015年』→ヘリの突き刺すような音→海中の使徒が見える→セミの声とともに浸水した街と人気のなくなった街→その中をミサトが乗った車が走る

エヴァは夏のイメージが張り付いているのだけどというしょっぱなの海の青や、閑散とした街並み、セミの声などが夏のイメージを作ってくれているだなあとしみじみ。

セミの声とともに使徒を迎撃する砲台が写っていて夏のノスタルジーを感じる場面に非日常が交じり合っている感じも引き込まれる。

 

綾波が一瞬出て消える
割とライブ感で作られた描写だと思うが、旧劇でもラストにちらっと映る描写があるので「ここからエヴァスタート」「ここでエヴァ終わり」的な役割と思っている。
 

・「出し惜しみは無しだ。何としても目標をつぶせ!」ベキッ!

ここで折れる鉛筆を見るたびに「握力すげえな」って笑っちゃうんですけど自分だけですかね。

 

・ミサイルを片手で受け止める使徒

ミサイルの崩壊→爆発が見ててテンションがあがる。わかりやすく制作側の気合の入れ方が見える。

 
・「そうでなければ単独兵器として役に立たんよ」
エヴァのライブ感が見えるセリフだ。旧劇で語られている独立した生命体という使徒の設定をゲンドウが理解して動いていたならこういうセリフにはならないと思うので。
 
・「なんかするんですか?僕が」「……」
このシンジの質問をあっさり無視するあたりミサトさんの理不尽さが垣間見える。
 
・起動確率は0.000000001%
これエヴァに頼りまくりのネルフ的に絶望以外の何物でもないと思うんだけどなんでリツコもミサトさんも平然としているんだろうか。自分だったら使徒が迫っているこの状況で発狂してると思う。あるいはこんなこと話ながら「シンジ乗せればなんとかなるだろ」って考えていたか。

 

・出撃、ミサトさんの無茶振り
自分で連れてきておいて「乗りなさい」「シンジくんなんのためにここに来たの」畳み掛けるような一話目からミサトさんにひどい無茶振りっぷりに
(ああ…エヴァ見てる……)
という感じがする。
シンジを迎えに行く時点でエヴァに乗せるのは既定路線だろうに「まさか乗せる気!?」とリツコに言い出すミサトさんは改めて見ると勝手というか何も考えてないんじゃないかみたいに見える。
シンジが「何かするんですか僕?」とか聞いたときはさらっとスルーするし。
 
・「ダメよ逃げちゃ、お父さんから何より自分から」
シンジとミサトさんは両方とも父親コンプがあるのに、ミサトさんが一方的にシンジをエヴァに乗るように説得するこのセリフは物凄いブーメランだ。
呼ばれたからとはいえ父親に会うためにネルフにやってきたシンジに父親とのコミュを代理戦争的に押し付けているミサトさんのダメな大人っぷりが第壱話からすごい。
移動中に「苦手なのね、お父さんが。私と同じね」と大人っぽく言っているがその実全くミサトさん自身解決出来ていないので情けなさが味わい深い。
 
というよりシンジとしてはあくまで父親に呼ばれて、何かしらの交流を期待してネルフまで来たわけで、ネルフまで来たこととエヴァに乗せられることとは全く関係がないのだけど流れで言いくるめようとするあたりきたない、ミサトさんきたない。
 
とはいえ貞エヴァ一巻に寄せられた庵野監督の文章『我々は何を作ろうとしているのか?』だとミサトさんとシンジが主人公として設定していることがうかがえるので、相当意図的にこのへんの会話は作られている気がする。
父親に捨てられたと感じたことから、自分はいらない人間なんだと一方的に思い込み、かといって自殺もできない、臆病な少年です。
そこにいる29歳の女性は、他人との接触を可能な限り軽くしています、
表層的なつきあいの中に逃げることで、自分を守って来ています。
二人とも、傷つくことが極端にこわいのです。
二人とも、いわゆる、物語の主人公としては積極さに欠け、不適当だと思われます。
だが、あえて彼らを主人公としました。

 

ミサトさんが主人公として最後まで物語の中核だったかというと(個人的には)うまくやりきれなかった印象があるけど、シンジに対してのミサトさんのセリフは自分自身に対しての嫌気もあるんだろう。
 
・「僕はいらない人間なんだ」
エヴァに乗らないと周囲から見放されるというか、必要とされない、というのはネルフが大概無茶振りなだけでシンジがいらない人間かとは全く関係のない気がするが、あっという間にダウナーなテンションになる。
ミサトの「父親と向き合う」「エヴァに乗る」という問題がすり替わっているように、シンジもすぐに物事の認知がゆがんでいる印象がある。
いや、この状況で色々メンタルが参ってくるのはわかるが。
 
・「まさか、ありえないわ!」
リツコがこのセリフをいうだけで面白くなってしまう。これから何回いうことになるんだろうこリツコは。
 
・手に血が染まる→決意
このあたりはシンジが乗らないということがどういうことか、をシンジに身体性を通じて訴えている感じがする。
自分が乗らないことの延長に手に付いた血があるというか。
実際はシンジの関係のないところで綾波が負傷してその傷が開いただけだと思うので、これも問題がすり替わっている気はするが。
 
・「逃げちゃダメだ」
「逃げちゃダメだ」については一応ミサトさんのセリフから導線が引かれているけど、状況で押し付けられているシンジが「逃げちゃダメだ」と思う必然性は薄い。
『我々は何を作ろうとしているのか?』でもあるように庵野監督の宣言のような印象が強い。
4年間逃げ出したまま、ただ死んでいないだけだった自分が、ただひとつ
 『逃げちゃダメだ』
 の思いから再び始めた作品です。
序盤は親子関係やシンジに迫ってくる理不尽に対してのセリフだったはずなんだけど、いつの間にか作っている庵野監督とシンクロしきって庵野監督の内面に向けたセリフになってしまった感がある。
エヴァの代表的なセリフの一つだとは思うけれどエヴァをテーマとストーリーで分けて考えた時にテーマ面に全体重のかかったセリフすぎてストーリーと乖離したセリフになっている印象だ。
 
結構テーマ面でエヴァを追う時にキーになるセリフだなと改めて感じる「逃げちゃダメだ」*1
第壱話から父親と向き合うこと=エヴァに乗って戦うことに「逃げちゃダメ」な問題がすり替わってしまっているが、その問題のすり替わりも含めて、
庵野監督が描く碇シンジ』という意味で必須のセリフなんだろう。
 
・出撃
一連の出撃シークエンスのテンションを上げていくやり方はかなりエンターテイメントとして強い。
それまでの無茶振りへのドン引き加減をなんだからよくわからないが気持ちの良い出撃シークエンスでテンションを引っ張っていく感じがある。
LCLに入ってる時、シンジも「気持ち悪い」って言っていたりするのがちょっとニヤついてしまう(そんな感想自体が気持ち悪いなと自己嫌悪もある)
「シンジくん、死なないでよ」というミサトさんのセリフで締め。自分で乗せておいてひどくないか。
 
 
第壱話から情報量が多い。妙にアンニュイなところやキャラクター個人と乖離したようなテーマ重視のセリフがあったり振り返ってみると中々濃い。キャプとかもあればより「ここ!」みたいに言えるのだけど、PS4での視聴のためキャプをいちいち取れない。
この手の感想は書いてみても続かないことが多いのだけど、どうなることか。
 

*1:エヴァでは庵野監督とひねくれ方が違う、アプローチの仕方が違う、といった風に貞本氏も語っているのでシナリオというより庵野監督のテーマ面に全体重のかかったこのセリフがオミットされるのは自然な流れに感じる。