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人生五里霧中

エヴァTV版見直し-第七話『人の造りしもの』-

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前回:エヴァTV版見直し-第六話『決戦、第三新東京市』-「笑えばいいと思うよ」シンジはなぜ泣いたのか - えのログ

ジェットアローン回。ミサトさんや設定の掘り下げ回でもある。

改めてみると回のテーマはサブタイトルにかけて『偽造』だったのかな、と思えるくらいに一貫した作りになっていて見返していてついつい感心してしまう。

またエヴァ」は繰り返しの物語です”などと庵野監督の新劇場版の所信表明で言われているが、この回は繰り返される描写で意味づけをする作りが面白く、エヴァの色々な魅力が凝縮されているように思う。

脚本は庵野監督と榎戸洋司さん。

メタファーなどが多用されるわけでないが、テーマに沿った脚本の構成力が見事の一言。今回見直していて「えっ、話の構成すご……」と圧倒された後に脚本を見たら榎戸洋司さんが参加されていたので、(どの程度榎戸洋司さんの力なのかは僕には判断しきれないのだが)「凄い」と言われている、そして実際に凄いと思っていた脚本家の力というものを肌で感じることができた。*1

アニメ的にもコミカルな描写とジェットアローンが僕の心を掴んで離さない。

 

 ・ゲンドウと加持の通話→サブタイトル

「ダミーを混ぜてあしらっておきました」という情報操作をしている話(人が真実を偽造する)をした後にサブタイトル『人の造りしもの』しょっぱなから綺麗にハマっている。

 

・朝食、だらしのないミサトさん

平日の朝っぱらから酒を飲むのは大人としてどうかと思いますよ僕ぁ。

食パン、コーヒーの朝食に対して「日本人はね、昔から朝はご飯と味噌汁、そしてお酒って相場が決まってるのよ」って対比になっていて面白い。

シンジからの容赦ない皮肉がコミカルで良い。

 

・「いいのいいの、これも仕事だからね」「仕事、ですか……」

口を滑らした、みたいな表情のミサトさんが印象的。だいぶコミカルな日常になったとはいえ、実際は薄氷の上を歩いているような緊張感がたまに見える。

でもその後平然とビールをブシッ!ってやって気楽に飲んじゃうあたりミサトさんって…ほんと…ほんと……

 

・「皮肉か。ま、砕けた表情が増えてきたのは良い傾向かな」→笑顔のシンジ→「いまウチをでたわ、後のガードはよろしく」

保護者としてどうかと思うミサトさん

この笑顔のシンジのカットが入ってから「後のガードはよろしく」という電話があるあたり、シンジのこの日常もネルフの監視下で『造られたもの』という視点が入ってきてゾクゾクする。

 

ミサトさん余所行きモード、メロメロになるトウジとケンスケ

これもまた外面として"造られたもの"トウジとケンスケに呆れた様子のシンジが面白い。コミカルなノリがこの回は心地よい。

 

・血の匂いがするエントリープラグ

血の匂いってイメージがつけられるのはここからだったっけ?

そんなエントリープラグに落ち着くシンジ。このあたりから胎内というイメージが示されていく。

差し込まれるエヴァの瞳のカットもエヴァが拘束具という『造られたもの』が外れた時のものに対して僕(シンジ)は何も理解できていない、という風に示されていてまた上手い。

 

・エレベーターのシーン

エレベーター!登場人物の影シルエット!榎戸脚本!!つまりこれはウテナだ!!!!!(違う)

ネルフのしんどい整備状況などについての会話。ドイツから弐号機が来ればもっと楽になるのか、なんて話をしていてアスカ登場までの布石が打たれている。

「司令が留守だとここも静かでいいですね」とか辛辣なことをサラッと言うマヤが面白い。ゲンドウって描写はないけどやたら仕事に口出しするタチなんだろうか。

 

セカンドインパクトの隠蔽

セカンドインパクトネルフの目的の説明。

話をしているのはリツコなのに複雑な表情のミサトさんにカメラが当たっていて、ミサトさんのあれこれを示唆する描写になっていて面白い。

ここでもセカンドインパクトの歴史は『造られたもの』

もっと言ってしまうとネルフの予想されるサードインパクトを未然に防ぐってのも"造られた"表向きの理由っていうのが構成が練られていて唸ってしまう。

 

・朝食(2回目)、めちゃくちゃカッチリしたミサトさん

動揺するシンジとペンペンが面白い。

コメディとしてAパート最初の描写が効いてきて面白い。

 

日本重化学工業共同体の時田さんとリツコのレスバトル

時田さんに煽られてめちゃくちゃムキになっているリツコが可愛い。

「よしなさいよぉ、大人気ない」ってつまんなそうなミサトさんも可愛い。

時田さん、いいキャラしてるんだよなあ……勿体無いくらいキャラ立っている……

 

・ブチ切れミサトさん&リツコ

 

ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ドカッ!!「ケッだ!あの!ドグサレどもが!どうせうちの利権にあぶれた連中のっ!腹いせでしょぉ?腹たつわねぇぇぇぇ〜〜!!!!」ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ゲスッ!!ドカッ!!(無慈悲に破壊されるロッカー)

 

直前に「よしなさいよぉ、大人気ない」と言っていたミサトさんはどこにいったんですかねぇ……

 

今度は「よしなさいよ、大人気ない」とリツコが言って逆転した繰り返しになっているのがまた面白い。なおリツコの振る舞いも大概……(ジェットアローン資料をライターで焼き捨てる)

 

これも大人らしさ、を造っているという描写。

それにしたってミサトさんのブチ切れかたがブチ切れ過ぎていてドン引きする、いや、大好きだけど。

庵野監督もアニメ製作中、ミサトさんのように暴れまくっていたらしいので製作者サイドがどんな心境でこの流れ作ってたんだとか考えるとジワジワと来るものがある。

 

・ジェットアローン、暴走

みんな大好きジェットアローン。 

 歩き出した時のリツコの色々考えているような表情が印象的。リツコは色々仕組まれているの知っているんだよね(じゃあなんであんなにムキになってたんですか……)

 

暴走したジェットアローンに「ありえないはずだ……」と言っているあたり時田さん、「ありえないわ……」と言いまくっているリツコと性格合うと思う。ゲンドウの百倍はいい人だと思う、時田さん。

 

・「自動停止の可能性は?」

 「0.000002%、まさに奇跡です……っ!」

 

当初のエヴァの起動成功確率より高いし実は余裕なのでは。

 

・「奇跡を待つより捨て身の努力よ!」

 ヤシマ作戦の後だとより一層ミサトさんのポリシーを感じられて良いセリフ。

まあネルフからするとこのミサトさんの行動は想定外だったわけだけど。

エヴァ出撃やミサトさんの身支度整え、パスワードを時田さんから聞く流れなどこれヤシマ作戦の時のスピーディーな感じの組み立て方で気持ちが良い。ここら辺のテンポを調整して「面白いのでよし!」と見ている人間を作品のテンションに乗せるのがエヴァは本当に上手い。

 

・ジェットアローンを追いかける初号機

この時になんとも言えない牧歌的な絵面が微笑ましい。

独特の空気感の回だよなあ、七話。

 

・ジェットアローン停止という造られた奇跡

ミサトさんが「んぎー!」と内部の装置を押す描写は必要性よくよく考えると薄いのだけど、タイムリミットギリギリ→生還というのをエンタメ的に盛り上げるのに効いている。

「奇跡は用意されていたのよ、誰かにね」というようにこの奇跡も『人の造りしもの』というのがキマりすぎていて震える。

 

あとミサトさん、結果的には命の危険性なかったとはいえ、使徒関係なくても命かけるくらいに人命を救おうとする人なんだよね。使徒が絡むと使徒憎しでシンジ使っちゃうけど。

 

・朝食(3回目)、造られたものではない本当の姿

せっかくジェットアローンの騒動で見直したのに相変わらずのミサトさんにプンスカ怒るシンジ。結構ストレートに不機嫌で微笑ましい。

「他人の俺たちには見せない本当の姿だろ。それって家族じゃないか」というケンスケの声がやたら良い。

造られたものだらけの七話で唯一残った本当のことが3回も繰り返されてた日常の中にあった、ということでシンジの笑顔で〆。

繰り返しの描写や、繰り返し『造られたもの』が通底した七話で最後に本当のこと、を持ってくる構成は美しい。

いや、テレビ版終盤とかの疑似家族崩壊っぷりを見るとこれすら造られた幸せと読むこともできるんだけど。*2

 

・次回「アスカ、来日」

次回はついにアスカ登場回!ここら辺から話がスラップスティックな感じになってくる。

サメみたいな使徒が出てくるところも注目。

そんなわけで次回へ!

 

次回:エヴァTV版見直し-第八話『アスカ、来日』-アスカ登場回 - えのログ

 

 

*1:いや実は僕が感じた凄い箇所は榎戸洋司さん関係ないとかだったら恥ずかしい感想だけど……

*2:とはいえエヴァは元々、大団円で終わらせる予定だったらしいので、この「最後に本当のことがあった」という読み方で素直に読み取って良いと思う。