えのログ

人生五里霧中

ポルノグラフィティ『foo?』を聴いて世界が拡張された気がした小学生の頃

foo?

foo?

 

 

ポルノグラフィティは僕が初めてまともな『音楽体験』みたいなものを味わったバンドなのだけど、その中でもたぶんほぼ最初に聴いたアルバムが2ndアルバムの『foo?』だったりする。

なので今日はそれについて少し書く。

 

アルバムの完成度とか尖り方だと1stの『ロマンチストエゴイスト』の方が好きなのだけど、人間最初に触れたものにはどうしても愛着が湧いてしまうもので、このアルバムのピンク色のジャケットを見ると無条件に懐かしい気持ちになってしまう。

 

そもそもポルノを聴き始めたのは母親の影響が大きくて、えのきが小学生だった頃はウチにも自家用車があり、その中でやたらアゲハ蝶とこのアルバムからサウダージを流すことが多かった。というより僕が駄々をこねてそればっか流していた。

他にも山下達郎だとか、山崎まさよしとか小田和正が流れていた気がするけれど、とにかく小学生のころのえのきにはポルノグラフィティはキャッチーで、何より新鮮味があるものだった。新鮮味、といっても当時音楽をろくに聴いていない小学生だったえのきが何を比較対象に新鮮味などとほざいていたかというと音楽の授業の歌とかなのだけど。

まあとにかくそういうのと比較するとアキヒトの声というのは格好良く、かつ瑞々しさみたいなものがあり、ポルノの曲は女性目線というかサウダージとかに代表される「私」みたいな一人称の曲もあるけどそれが違和感なくピッタリフィットするもので、そんなところががっつりと刺さった。

後に家の棚に『ロマンチストエゴイスト』もあることに気がつくのだけど、そんな風に気に入ったものだから母親のCD棚にあった『foo?』のアルバムを引っ張り出して夏休みの宿題が終わらない8月31日なんかは普段怠けまくっていたというのに「音楽を聴きながら勉強するオレ」みたいなものに浸りながら全然進まない夏休みの宿題とにらめっこしたりしていた。

まあ、全く宿題は進みませんね。

でもそういう時に聴いている音楽というのは妙に印象に残ったり、影響を与えるもので、ポルノグラフィティは小学生の自分にとって世界を拡張するような感覚があった。

 

この『foo?』というアルバムには2曲目に『グァバジュース』という曲があるのだけど、そのタイトルセンスや歌詞から何から何まで「これを聞いている大人なオレ」という感覚に自分を引っ張り上げてくれたのを覚えている、そればっかだなえのき。

何がどうしてそうなったかを考えるとめちゃくちゃシンプルなもので、歌詞にこんな一節がある。

真夜中のコーヒーショップ

甘い甘いグァバジュース

おしゃべりなその瞳に涙チラつかせ

真夜中のコーヒーショップボクは苦い失恋

 今読むと何てことのない対比表現なのだけど、そこは小学生。対比なんて概念がないからその言葉選びにぶん殴られるような衝撃を味わう。

対比なんて洒落た表現方法を当時の僕は知らなかった。

だから最高にその歌詞をクレバーに感じて「これを作った人は天才なのか!?いや天才だな!!」みたいなことを歌詞カード見ながら思ったりする。

 

「そもそもグァバジュースってなに?」「コーヒーショップに大人は行くものなのか!」「というか別れ話って!」

なんて風に色々な衝撃があったのを覚えている。

小学生のころの世界というのはバカみたいにシンプルなもので、好き嫌いはあっても『別れ話』みたいな面倒な概念は存在しないもんだから、自分の世界に存在していない概念を自分の世界に存在していない表現方法でぶつけられるもんで、一瞬でノックアウトする。

「俺はこれを体験したことはないが俺はこんな高尚なものを理解できるかしこさがあるのだ!」

ポルノグラフィティの歌を聴きながら今振り返ると恥ずかしさしかない感覚を持ったのを覚えている。めっちゃバカな感想だ。

 

でも、たぶんポルノグラフィティはそういう塩梅がうまかったのだと思う。

大人でも聞けるラインの歌詞でありながら、子供が背伸びして聴き始められるような抽象度だったりモチーフだったりして、普遍的でありながら「あなたのために歌っているんですよ」みたいな錯覚を起こすのが上手かった。*1

 

この『foo?』というアルバムは『サウダージ』とか『サボテン』といった手堅いシングル曲に加えて、『オレ、天使』とか『空想科学少年』みたいなアイロニーのある曲が入っているので、「正義は勝つ!」「愛は勝つ!」みたいな子供だった自分の価値観をぶっ壊して再構築して、アップデートする=世界が拡張されるみたいな感覚を体験させてくれた。

 

ここのところCDがどっかいってしまったり、Applemusicとかを利用するとわざわざTSUTAYAに行くのも面倒というのもあって、さっぱり聴いていなかったのだけど、Applemusicにポルノグラフィティが追加されたこともあって聴き直しているとそんなことを思い出して少し感傷的になる。

後何回自分は人生の中でコンテンツに触れて世界が拡張される感覚を覚えられるのか、それとももうそんな感覚は二度と味わえないのか。

 

「オタクはみんな大好き!」とか「オタクの必修科目!」みたいな感じで昨今のインターネットではポルノグラフィティが語られたりするけれど、そういったことを思った小学生の自分がいたということを何となくブログに残しておく。

 

AppleMusicで聴き放題だし、他のサブスクリプションでも聴けるかもしれないのでまあ気が向いたら聴いてみるのはどうでしょ?

今日はそんなところで。

 

*1:ハネウマライダーぐらいまでしかちゃんと追っていないので当時の感覚でしかないのだけど