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人生五里霧中

輝夜月の『Beyond the Moon』が良いという話

結構前の話ですが輝夜月がオリジナル楽曲『Beyond the Moon』を発表しました。
 
各種サブスクリプションで配信されているので、リリース時に速攻で聴いていたんですけど、自分のよく交流しているフォロワーさん達の間では
輝夜月の規模と比較するとそこまで話題になってないかな?」
という印象だったので、改めて自分が感じた魅力みたいなものを言語化してみようと思い書きます。
 
輝夜月のオリジナル楽曲ということでまず簡単に輝夜月の説明からさせてください。
ざっくりと輝夜月がどんな存在で、そのうえでどういう風に曲が良かったのか書いていきます。 

輝夜月がどんな存在か

 
 
どんな子かは最初の自己紹介動画を見てくれるとわかるとおもいます。
全然わかりませんね。こんなに自己紹介感の薄い自己紹介動画も珍しい(褒めてる)
 
あとストロングゼロの動画、好き。
 
 
圧倒的なハイテンションとハイテンションさを更に圧縮したような動画編集によって、
「なんだがわからんがキマったテンションのやべぇ女を見ちまったぞ……」
というのが初見時の印象でした。
大体当時のネットの評価を見るとそんな感じだったと思います。
 
輝夜月はキズナアイが「インテリジェンスなスーパーAI」と言っているような自己を規定する定義のようなものがありません。
143歳?といった年齢の設定はありますが、特別な「This is 輝夜月」のような設定はありません。
毎回とにかくハイテンションさと爆発的な勢いで見ているものを引き込んでいくのが特徴といったところでしょうか。
 
このあたり定義付けがないのはKAI-YOUさんのインタビュー記事や、ユリイカのAOさん(輝夜月の動画をバックアップするチームみたいな方々)の記事を読むと結構意図的であるようです。
 
下記はユリイカからの引用です。
 
ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber

ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber

 

 

(前略)では輝夜月はどうかというと、実はそのあたりの定義を何ももっていないのです。どこからやってきた何者なのか、中の人はいるのか、といったことをすべて受け取る側に委ねてしまっている。強いて言うならそのように定まりがないことが唯一の設定であるという、その意味ではボーカロイドに近いかもしれません。たとえば二次創作で描いていただいたイラストを見ていると、描く人によって「可愛い」「かっこいい」「いじわる」など属性の捉え方がまったく異なることがわかります。そうした掴みどころのなさこそが彼女の魅力ではないでしょうか。(以下略)
AO『ユリイカ2018年7月号』青土社pp.37-38
 
上記の文から「とはいえ、輝夜月には人格はありますよ」といった内容につながっているのですが、ここではキャラクターとしてのバックグラウンド的な設定がないということだけ言いたいので、ここだけ引用しました。
 
よく活動の目的というか、よく言っていることとしては
「(視聴者に)友達感覚で見てほしい」といったところでしょうか。
 


あけおめワッショイ∠ 'ω'/ 

こちらの動画などで言っていますね。

 

また「面白い動画出したい!」なんてこともよく言ってます。

 


【質問コーナー】祝う記念にいろいろ暴露するわーwwww

 
こんな風に、輝夜月にはキャラクターとしての設定はありません。
ここで『Beyond the Moon』の話に戻ります。
 

・『Beyond the Moon』で出来た別軸の物語

 
こんな感じで輝夜月はとにかく「楽しい!」「面白い!」というのを前面に出しているキャラクター性というのもあり、僕自身そこまで熱心にTwitterで言及はしていなかったのですが、毎回動画は面白いので追っていました。
 
そうしてオリジナル楽曲を発表する!という話題を見たときに「おぁ楽しみ!」というのと同時に少し不安がありました。
すなわち「どのようにキャラクター性を曲で表現するのか?」という点です。
 
前述したように輝夜月にはキャラクターとしてのバックグラウンドがありません。もっと正確にいうとキャラクターとしての物語と言える背景がない、というニュアンスの方が近いでしょうか。
輝夜月は見た者を圧倒するハイテンションさに代表される強烈な個性が魅力的ですが、曲にした時に「ハイテンションなだけ」ではもったいないなぁ、なんて勝手に思っていたわけです。やっぱりキャラクターソングってそのキャラの持つ個性とかテーマが圧縮されたものなわけですし。
 
ただ、実際に楽曲を聴いてみるとそんな不安は消し飛びました。
見るものが振り落とされる寸前の爆発的なハイテンションをうまく表現したコロコロ変わるBPMに、キャラクターデザインのポップさと重なる曲のポップ感、
「うおぉ、輝夜月の曲だ!」といった高水準の曲に仕上がっていました。
 
ただ、その上で特筆すべきなのは「キャラクターとしての物語と言える背景がない」ということ自体を物語にしてしまう(=別軸の物語を作る)ような歌詞ではないでしょうか。
 
ああバカな自分だけれど
遠い世界の君に この歌響け
笑顔になるように
いつもあの子は幸せそうで
きっとあの子も泣いてる
 
サビのこの歌詞を聴いて一気に引き込まれました。
これまでなかった輝夜月の動画群に物語が付与された(と僕が感じた)からです。
 
上の方で貼った動画を見てもらえればわかると思いますが、輝夜月の動画はとにかく「面白さ」という点のみを追求した動画です。
とにかくまず「面白い」があって、「あ、月じゃん、これ月じゃ〜ん」みたいに言われるような動画を目指して作り、投稿しているわけです。
 
そんな輝夜月が“笑顔になるように”と歌い、幸せそうなあの子も泣いている、と歌う。
 
初めて、輝夜月がどのようなスタンスで動画投稿に臨んでいるのか、そのバックグランドを垣間見た気がしました。
 
彼女は誰かを「笑顔」にすることを真摯に想い動画を作っているのかもしれない。
彼女はいつも笑っているけれど、もしかすると僕たちの知らないところで苦労して泣いているのかもしれない。
 
これは強烈です。
それまで純粋に笑っていたからこそ、その裏に人知れぬ努力や苦労があったのかな?と感じさせることでそれまで動画を通して見ていた世界が変化するのですから。
 
そんなこれまで見ていなかったor見せていなかった物語が見えるようになる。
 
これまでの動画の蓄積から生まれたドラマを曲にする、というのではなくて、
これまでの動画の蓄積をドラマに生まれ変わらせる曲なのですね『Beyond the Moon』は。
 
キズナアイの『Hello,Morning』はキズナアイの持つ物語の集大成であり、その上でのこれからのスタートという意味で、王道的なアプローチのオリジナル楽曲でしたが、輝夜月の『Beyond the Moon』はそのような王道的なアプローチとは真逆の、楽曲であるように思いました。
 
これはある意味、動画投稿というシナリオの無い中でキャラクターが作られていく形作られていく『バーチャルYoutuber』という文化だから出た曲なのかなぁと思ったりしました。(輝夜月は自分のことをバーチャルYoutuberとは呼称したことはありませんが。それが産まれた土壌というか、そういうニュアンスで)*1
 
そんな輝夜月の『Beyond the Moon』
曲としてもユニークな構成で聴いていて楽しい曲なので、まだ聴いたことが無い人はこれを機会に聴いてみるのはどうでしょう?
 
今日はそんなところで。
 
 
 
以下余談です。
 

・余談 バーチャルYoutuber応援ソングとしてみた『Beyond the Moon』

 
先日このブログでキズナアイの紹介記事を書いたのもあって、
バーチャルYoutuber応援ソングとしても聴けるなぁ」なんて思ったので書いておきます。
結構主観入った話なので、特にそういう文脈に興味無い人は読まないでも良いと思います。
 
輝夜月を知っている人はご存知かもしれませんが、輝夜月はキズナアイと仲が良いです。
輝夜月はTwitterキズナアイのことを「親分」なんて言っていたり、エイプリルフールにはコラボ(?)動画を出したり、
キズナアイの誕生日イベントではゲストで参上、手紙読んでいたりします。
 
 
 
そういった文脈で見た時、キズナアイに追随するような形で出た楽曲で出た『Beyond the Moon』にもつい、そんな文脈を読み取ってしまいます。
 
ああバカな自分だけれど
遠い世界の君に この歌響け
笑顔になるように
いつもあの子は幸せそうで
きっとあの子も泣いてる
 
こういった歌詞はキズナアイや、キズナアイを始めとした『バーチャルYoutuber』『Vtuber』と呼ばれる方々に多く当てはまるでしょう。
動画は楽しい方向性のものを出し、エンターテイメントの方向性で様々な動画が日々作られています。
それは見ている僕たちは楽しいものですが、毎週、毎日のように投稿される動画は決して楽に作っているものではないでしょう。
活動期間がある方々はNG集のような形で、失敗動画をネタとして出していますが、ネタにもならない、うまくいかない失敗動画もそれこそ山のようにあるはずです。
 
 
そんな近くて遠いキズナアイを始めとした『バーチャルYoutuber』『Vtuber』へのラブコール、応援ソングとして解釈するのもまた一つ味があって良いのでは無いかな、と思ったりしました。
 
まぁ輝夜月こんな動画出して煽りに煽ってますが
 
 
それでは今度こそこんなところで。
 
 

*1:いやニコ生とかでもうそういう前例・文脈もあるかもしれないんですが、自分は知らないのでそういう風に思ったという話です