えのログ

人生五里霧中

カレー大好き、毎日三食カレーでもいい

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 じよらじでも話したみたいにカレーが好きなんだけどツイン照子も実はカレーを作るのがうまいです。というかカレーを作りすぎて『概念的カレー作り上達』をしています。

 

 どういうことかというとツイン照子は昔から料理を作ろうとして「ねえ、えのき。あんた好きな食べ物は……いや!なんでもない!なんでもない!なんでもないったら!バカじゃないの!なにも言ってないわよ!」と言い出し、台所から凄まじい破壊音やビシャビシャビシャーーーー!と何かが飛び散る音や、ドジュバッ!!!!!!ジャバァアアアアン!!ともう何の音だかわからない音を炸裂させます。

「な、一体なにが……」そう僕が思い台所に行くと荒れ果てた台所……砕け散ったまな板……壁に突き刺さった無数の包丁……潰れたトマト……あたり一面に溢れたマヨネーズ……惨状が広がっているのです。

 

「仕方ないからカレーにするわ……」

 

 ツイン照子はいつもそう言って最終的にカレーにします。カレーはすごい。どんな概念の失敗したツイン照子の料理であったとしても最終的にカレーにする概念包括力がある。カレーはすごい。

 

「ごめんね……」

 

 カレーを食卓に出す時ツイン照子はなぜか落ち込んでいるのだけど、僕はカレーが好きなのでウキウキでカレーを食べていると時にはツイン照子に「バカじゃないの!」とキレられ、時に「ありがとう……」と感謝されます。カレーはうまい、ツイン照子のカレーはすごいうまい。

 

 そんな感じで何回も何十回も何百回もツイン照子が料理をするにつれてツイン照子の料理スキルも上達を遂げます。いや、概念的上達と言っていいでしょう。

 お弁当作りをしていて思ったのですが料理というのは狙った通りに作ろうと思ったものを作るという技術が半分くらいあると思います。少なくとも、レシピを忠実に守れれば食べられるものになるはずなのです。だから、料理初心者(まだ僕も初心者ですが)はレシピを忠実に作ることが料理上達と言えるでしょう。

 しかしツイン照子曰く、「なにを作っても最終的にカレーになっちゃうんだけど、最近カレーにするまえにカレーになっているのよね。今日、ステーキ作ろうとしたんだけど」だそうです。そう言いながら少し前に鉄板に乗ったカレーライスが食卓に出てきました。すごい、カレーってうまい。カレーはすごいうまい。ツイン照子のカレーはすごいうまい。

 

 どうやらツイン照子は

 ・料理を作ろうとする(例:ステーキ)

 ・台所が崩壊する

 ・仕方がなくカレールーを使う

 ・カレーができる

 という工程を繰り返すうちに

 ・料理を作ろうとする

  (省略)

 ・カレーができる!

 というように概念的カレー作成の上達を見せたのです!すげえよツイン照子!!!!!

 

 だけどツイン照子は「おかしいわね……どうしてカレーに……私は今日はパエリアを……」などと言いながらカレーを食卓に出してきます。たまにツイン照子は残念そうな顔をします。

 

「でもツイン照子の好きだけどなぁ」と言うと

「は、ハァ!?アンタなに言って……!!!!! ……ああ、カレーの話ね」

 

 と呆れたような顔をしながらなぜかツイン照子は笑うのです。よくわからない。

 

 ただ、最近はツイン照子のカレーを僕は食べられていません。

 世の中では外に出かける機会が少なくなっているけれど、ツイン照子はお隣さんで、元からそうだったからほとんど毎日顔を合わせていたけれど、最近では会う機会も少なくなっている。ツイン照子の『概念的カレー作成技術』が、とある機関に目をつけられてしまったからだ。

 ツイン照子の『カレー作り』の概念的技術成長は留まるところを知らない。ツイン照子のカレーはいつだって、ツイン照子のカレーだけど、その作られる工程の速度と正確性、概念包括性は向上し続ける。

 

 僕が最後に知っているのはツイン照子が「じゃあ料理しようかな」と言ってソファーから立ち上がった時のことだ。

 既に台所には鍋に入って煮込まれたカレーが出来ていた。

 そう、ツイン照子のカレー作りは

 ・料理を作ろうとする

  (省略)

 ・カレーができる!

 の速度向上だけではなかったのだ。『料理を作ろうとする』という工程すらも細分化し、『料理』という過程を開始しようとした瞬間にカレーという結果ができるという恐るべき上達をしていたのだ!!!!!

 だからツイン照子が料理をしようとすれば、そこにカレーが生まれることになる。この世のどんなものであってもツイン照子が「料理しよう」とさえ思えばカレーにすることが出来る。

 

 そこを機関に目をつけられてしまったのだ。

 世界では感染症が流行ってしまっているから、ツイン照子はその解決のためにツイン照子の料理技術が利用されようとしている。

 

 僕が家に帰った時「しばらく出かけるわ」から始まる書き置きがあって、ツイン照子はそれから帰ってきていない。

 その日から、僕はカレーを食べていない。

 

 きっと今頃、ツイン照子は機関によって「料理をしよう」と今世界に溢れている問題に対して意識を向けるように依頼、もしくは命令、最悪の場合、強制されているのかもしれない。

 僕は何もかも気づくのが遅くて、機関がそんなことをしようとしているなんてツイン照子の書き置きを読むまで知らなかったのだ。

 

 今日、まだ世界にカレーは溢れていない。

 本当のところ、ツイン照子が世界に溢れる問題に対して「料理をする」と決めるのは並大抵のことではないだろうと思う。それはいくら強制されても、それをするのはツイン照子だから。

 世界の感染症がカレーになったとしたら、きっとある日突然世界がカレーで満ちてしまうのだろう。大鍋に入った、アツアツのカレーが空から降ってくるのかもしれない。

 ツイン照子はそれを躊躇しているのだと思う。ツイン照子は優しい人だから。自分の料理で台所をめちゃくちゃにしてしまった時、いつも悲しそうな顔をしていたから。

 

 だから僕は今、カレーを食べていない。僕はカレーが好きだから。ツイン照子の作ってくれるカレーが大好きだから。世界にカレーが降り注いでも、他の誰にも食べさせずに僕が全てのカレーを食べ尽くしてみせるから。

 だから僕は今日もこうしてカレーが世界に満ちるのをただ、待っている。

 

 カレー大好き、毎日三食カレーでもいい。