えのログ

人生五里霧中

明日カノにハマってるって話

 

 

 土日で読んで一気にハマってしまったんですが、『明日、私は誰かのカノジョ』が面白いです。ずっとツイートしすぎて、『明日カノ』で検索して自分のアカウント乱発するの嫌だな……となって一時的に鍵かけたくらい。

 複数章の物語で第一章がレンタル彼女、第二章がパパ活、第三章が整形、第四章がホスト沼……と題材だけだと露悪的な話になるのかと身構えてしまうんですが、これがそんな単純な描き方をしていない。

 章ごとに主人公が変わる、けど隣接した人間関係の群像劇で、それぞれ他人に簡単に見せられない、知らせることの出来ない一面を持っている人間模様の物語なんですよ。題材が題材だけに登場人物全員一癖二癖あるんですけど、読んでいるうちになんというか他人に思えなくなっていくんですよね。自分自身に経験のない事柄でも、そこに宿る「気持ち」から目を逸らせなくなるから。

 明日カノ、それぞれの主人公に人には見せられないような『傷』があるんですけど、明日カノが面白いのはそんな当人を変に愚かに見せたり、哀れに見せるような描き方をしていないんですよね。それぞれの章で主人公たちは自分の在り方と向き合う出来事があって、現在の自分や自分の過去と向き合うことになるんですけど、その結果に自己卑下がないんですよね。

 世間的に「正しい」とされないかもしれない、世間的に笑われるかもしれない。他の人は認めてなんてくれない。そんな生き方。それでもそんな人生を自分で「選択」したのだと言えるような物語が色々な人物を通して描かれていく。無条件にその状況を肯定派出来ないかもしれないけど、そこで生きようとしている「人生」が描かれている。

 それぞれの個人だけではなくて、登場人物たちが関わって、言葉を交わして繋がったり、離れたり、傷つけたり、傷つけられたり、という描写があまりにも凄い。混じりっけなしの善意や好意が人を傷つけたり、そんな無自覚な人だからこそ救える言葉を言えたり、他の誰にも共感してもらえないような気持ちを理解したり……ありとあらゆる描写が表裏一体になっていて、ある人にとってはネガティヴな性質がある人にとってはポジティブな性質に反転する瞬間があって、その人物描写に圧倒されてしまう。

 私が好きなのは三章の主人公のあやなさんで。5巻の海に行く前後はもうずっと凄い……眩しい……読んでない人で興味を持った人がいたら読んで欲しい……(こんなあやふやな言葉で読んでみようという人がいるのかわからないが……)

 もうサイコミで最新話まで追いついてしまったので次の更新をひたすら待ちます……洗脳編、どうなっちゃうの……

 

 

 最後に、少し読んでいて思った突っ込んだ話を。

 第一章、題材が「レンタル彼女」で主人公は顔に火傷を負っていて、メイクをすることで人に見せない、欺くことができる雪という人なんですね。

 

 私は思ってもいない教師受けが良さそうな将来の夢を原稿用紙二枚分に書き綴った

 その時からすでに自分を偽って人を欺いて生きてきた

 

 雪はずっと昔から自分と関わる人にとって望む言葉を言うことができて、だからこそレンタル彼女をしているんですが、この一章は本当に『明日カノ』という物語の始まりとして練られている。

 全ての人が、とは言えないんですが『傷』のない人ってそういないと思うんですよね。誰もが大なり小なり、人と違う『傷』があってそれを隣にいる誰かに悟られないように隠して笑顔で生きている。

 私は会社で機嫌悪い目上の人がいる時とかに声かけたりしてなんとか機嫌取ろうとついしちゃうんですが(怖いので)、ちょっとした声かけでその人が穏やかになったりするとそれはそれで自分の気持ちが安らぐ時もあったりします。その場を円滑にしたいからこその『擬態』であるはずが、自分の気持ちが引っ張れれる時がある。

 そうなった時って何が本当で、何が嘘か、わからなくなりませんか? 作中で自分の本当がわからなくなっている雪ほどの水準ではないかもしれなけれど、近いところがある。

 現代、と括ってしまうと雑かなとも思うんですがSNS全盛期の今って多くの人が自分の裏表を痛感している時代だと思うんですよね。学校とか職場の人と楽しく話していても見せられない一面がある、SNSでも裏アカウントがあって、隠している一面が生まれていく。それでも表も自分でも本当なのか嘘なのかわからない時があって……

 ということに思いを馳せていくと雪のしている『レンタル彼女』という仕事と『明日カノ』というタイトルに見出せるものが出てきます。

 明日カノの登場人物は誰かにとっての『カノジョ』なんですよね(恋愛、非恋愛関係なく)。それこそ街中ですれ違う人、日中話した人、自分自身の隣の誰か。

 そんな誰かの『傷』を垣間見て、違う一面を知る物語、それが『明日、私は誰かのカノジョ』なのかなぁと。

 だからこそ『本当の自分』がわからない雪は一章の主人公で、この物語全体のメイン人物になっているのかもしれないと思いました。

 

 いや〜〜〜面白すぎるので今日も通勤中に読み返しまくってしまった。あとコラボ楽曲の『アスカノ』も本当にいい曲……

 またブログ書くかもしれませんが、とりあえず明日カノにハマっているという話としてはこんなところで。オススメです。