えのログ

人生五里霧中

今改めてピーナッツくんという存在と向き合った一枚 ピーナッツくん3rdアルバム『Walk Through the Stars』感想。

 

 

 

 

6月1日『Walk Through the Stars』リリース

 

 6月1日にピーナッツくんの3rdアルバムである『Walk Through the Stars』がリリースされました。

 POPYOURSへの出演、単独のライブツアーなどピーナッツくんの音楽活動はぽこピーの活動と並行しながらも益々ボルテージが上がっていく状況。

「ひょっとしたらyoutubeでの活動とかを減らしていずれ音楽一本でいく可能性もあるんだろうか」なんて思いながらの3rdアルバムリリース。

ところがどっこい、過去最高に『バーチャルyoutuberをやっている自分』を意識したアルバムになっていました。

「攻め続けろ」とはぽこピーの師匠であるデカキン氏の言葉ですが、やはりピーナッツくん音楽面でも「攻め続けている」、と感じました。

 

 1stアルバム『False Memory Syndrome』ではピーナッツくんというキャラクターの確立、2ndアルバム『Tele倶楽部』ではバーチャルという世界の光と闇、徹底したVtuberという『シーン』を意識したリリックが展開されていました。

 私はキズナアイが好きでVを見始めて、その流れおめシスやぽこピーといったいわゆる動画勢が好きだなーというオタク。

 2018年の黎明期からは変わるのは必然でもあり、寂しくもあり、でもたまにyoutube見るとやっぱりこの流れ自体は面白さが常にあるんだよな〜と色々な気持ちがありながらも、その渦中で試行錯誤するピーナッツくんの姿勢であったり、意思表明のようなものが盛り込まれたリリックはとても鋭い。

 バーチャル存在と魂の存在、あるいはコンビ活動、あるいはピーナッツくんとチャンチョについて歌った曲である『幽体離脱』やVtuberを揶揄される時に必ずセットで語られがちなスパチャを題材にした『SuperChat』など、部外者ではなくそのムーブメントの中で活動しているからこその視点で歌われる言葉には「どうなっているか」「どうあるべきか」を模索する批評性があると私は思っています。

 

 さて、3rdアルバムである『Walk Through the Stars』これはある意味で最大の問題作かもしれません。

 1st、2ndでは常にキャラクターとしての確立、Vとしての活動、Vのシーン、といったテーマがありそれらは常にシーンに向けたもの。言うなれば『外』に向けた言葉であったように思います。問いかけであったり、決意表明であったり、葛藤であったり、『外』に向けた言葉。

 それに対して3rdアルバムである『Walk Through the Stars』にあるのは徹底した『内省』です。

 キャラクター、バーチャル存在としてのピーナッツくんを語る曲、ではなく『ピーナッツくんというキャラクター』と『ピーナッツくんをやっていく自分』を常に行ったり来たりを繰り返す、その上で進んでいくという意思を感じるリリックで全編彩られています。

Roomrunner!

 

www.youtube.com

 

 youtuberとしての『ピーナッツくん』から始まる動画の話を題材にした楽曲。

 ライブなどでやっていてアルバム公開前から存在は知られていた楽曲『Roomrunner!』

前述していた「ひょっとしたらyoutubeでの活動とかを減らしていずれ音楽一本でいく可能性もあるんだろうか」という私の懸念を吹き飛ばす開幕キラーチューン

 リリックの元ネタは年末のぽこピーの配信で決まった毎日6000歩チャレンジ。

 ピーナッツくんはぽんぽことの対決で負けてしまったため、2022年は毎日6000歩を歩くという罰ゲームを受けることになります。

 その結果、動画ネタとしてルームランナーを買ってそれを利用しはじめます。

 

乗りこなしているよ

ルームランナー

飛ばしてpase

On my pese

 

まるで魔法のカーペット

原動力はぼくの足なんです

マジで頑張る

 

 完全に動画ネタ。ぽこピー、youtuberとしての活動を起点としてリリックです。

 部屋の中で歩いていく、ストーリーを始めていく。

 ルームランナーという部屋の中で完結する健康器具と(基本)部屋の中で完結する自らのyoutube活動を重ね合わせる発想の妙。

 何処にも行けないけれど、何処にだって行ける。

 爽快感のあるサウンドと自らの活動を蔑ろにせず、そのまま新しい世界に行く、見せていくという意思のような文脈を感じ取ってしまって勝手に感極まってしまう。

 

 そして同時に直球の動画ネタをメインに据えてきたのは『youtuberとしてのピーナッツくん』をこのアルバムでは示していくという表明ではないかと思います。

 

 動画が着想元と思われる曲は他にも『KFC』があって、日々の活動からガッツリとリリックを作っていく姿勢に『バーチャルYoutuber』としての矜持を感じてしまう。

 POPYOURS は配信で見ていたのですが、MCで「普段はバーチャルYoutuberをやらせていただいてますわ」という感じのことを言っていて、ピーナッツくんにとってバーチャルYoutuberである、というのは欠かせない背景なのだな、と改めてしみじみします。

 

 さて、アルバムとしてテーマは『Roomrunner!』はまだまだ序の口。曲が進むにつれてその更に加速、より本質的な部分へと迫っていきます。

 

Fulltracker

 二曲目『Fulltracker』は曲名がフルトラから来ているようにバーチャルyoutuberという存在を成り立たせる『技術』の曲。収録部屋であったり機材について歌われています。

 

ボロボロPC 今じゃハイエンド

いつかぼくらだけのプライベート

Webカメすぐセット

NURO光ネット

GANTZに呼ばれたみたいなmybody

 

 ここで歌われるのはぽこピーの収録部屋の話だろうし、それを取り巻く機材の今昔だと思います。

 ぽこピーは『個人勢であり動画勢』であるため、しばしば周囲を取り巻く機材の話はしていますが、楽曲としてこうして提示されると「踏み込んできたな……!」と感じざるを得ません。

 

 一曲目のルームランナーはピーナッツくんが利用する様子を動画にしており、『ピーナッツくんという世界』の内側に取り込まれた事柄ですが、Webカメ等の単語は動画内ではなく、動画外を強烈に想起させます。

 すなわち、動画を撮影するピーナッツくんではない『兄ぽこ』の存在です。

 

 1stアルバムの楽曲『ピーナッツくんのおまじない』ではこうあります。

 

Uh ぼくの名前ピーナッツくん

授かった名前はピーナッツくん

その声、体 きみとの違いが

ぼくがピーナッツくんたる所以さ

 

 上記の歌詞は兄ぽこパートから引き継がれるように歌われる部分であり、それゆえに『ピーナッツくんのおまじない』時点でのピーナッツくんを定義するものでしょう。

魂である兄ぽことピーナッツくんを隔てていたものは確かに当時はそうであったはずです。

 そこから考えを深めていくと、動画や配信、またはきぐるみやパペットでピーナッツくんとして出ている時こそ、兄ぽこではなく、ピーナッツくんとして確立されている、と考えられそうです。

 

 ですがピーナッツくんの曲として『Fulltracker』で歌われているリリックはそうではありません。

 収録外、ピーナッツくんではないところまで既に取り込んだ世界の歌になっている。

 

 『ピーナッツくんのおまじない』で歌われるようにピーナッツくんとしてのアバター、声を用意していない、動画の収録前、配信の開始前、Webカメラをセットした時、セットしているその存在は果たしてピーナッツくんと言えるのか?

きっと、このアルバムの地点では言える、ということなのではないかと思います。だからこそ『GANTZに呼ばれたみたいなmybody』という主観のリリックとなっている。

 

 それは過去の定義とズレるところでもあり、同時に腑に落ちるところもあります。

ピーナッツくんたる所以であったピーナッツくんの声も当時と違います。

 

www.youtube.com

初コラボの時のピーナッツくん今とはだいぶ違う。

 

アニメであったり、初期のピーナッツくんの声と今の声は繋がっているところもありますが、日々の活動の中で変化しています。

 

youtu.be

 

youtu.be

 外ロケの時にピーナッツくんとしての声のままで人と話すシーンなどもあり、(私が動画で聴き慣れているというのもありますが)当初のピーナッツくんの声ほど日常で気になる声ではなくなっているのではないかと思います。

(もちろん稀に出る兄ぽこボイスとは違うとはいえ)

 

 日々の活動の中で、それが自然体に近づいていく、演技が自然体になっていくのか、自然体が演技になっていくのか。

 その境界は画面越しの私には計り知れないところですが、『Roomrunner!』『Fulltracker』『Makeup』『KidsRoomMan』と続く楽曲はかつての『ピーナッツくんのおまじない』の時と違い、ピーナッツくんのバッググラウンドにはyoutuberとしての活動だけでなく兄ぽこが含まれているようなリリックになっていて、全てをひっくるめて『ピーナッツくん』をやっていくぞ、というレペゼンのようなものを感じます。

 

Makeup

 この曲もフルトラ同様ピーナッツくんに『成る』視点の曲。

 鏡、とありますがこれは収録の時のモニターなんじゃないでしょうか。カメラで撮影された自分の様子を見る時は常に出力されたピーナッツくんとしての自分。

 努力人の倍しなきゃ作れない、とdrippin lifeでも歌っていましたがピーナッツくんの楽曲であったのは『イキリ』の裏にある不安。

 

楽しいことの中にある不安も

思い出せば良いキバつい黄色

 

と『ピーナッツくんのおまじない』でも歌われてましたね。

兄ぽこにとってピーナッツくんは不安を吹き飛ばすようなマイヒーローなのだなぁと、『Fulltracker』で感じた変化と同時に変わっていない部分が見えてきます。

 

 

KidsRoomMan

 先行リリースの楽曲の一つ。

 今いる場所から離れられない自分とそのままでやっていくという自分。

 

ぼくはいまもまだ

ここに居座った

 

から始まり

 

まだ振り出しにいる

ゴールはここにある

 

と続くリリックは常に相反する葛藤、狭い世界から抜け出せないまま、世界を変えていこうという『Roomrunner!』と通ずるメッセージの一貫性を感じます。

KFC

 

www.youtube.com

 

 これも『Roomrunner!』と同じく動画からでしょうかね?

 ぽこピーはぽんぽこさんがチキン好きらしくチキン動画が結構ありますね。

 

 ポップなリリックで『グミ超うめぇ』的な楽しみもあるのですが「おっ」となったのはこのリリック。

平和堂のフードコート異彩放つもの

I’m lonely食う

 滋賀県の要素をばっちり出してくる。(平和堂滋賀県を中心に展開するスーパーマーケットとのこと)

『Roomrunner!』からの流れで示されていた『部屋の中』という世界に滋賀県という情報が追加されていく。バーチャルyoutuberとしてのピーナッツくんは原宿住みでしたが、滋賀県という兄ぽこの要素はやはりこの楽曲でも侵食しています。

 そしてそれを聴いている私も、「ピーナッツくんの曲らしいな〜」と平和堂という単語を自然に受け入れている。

 

PEEPEE

 

www.youtube.com

 

 POPYOURSにめちゃくちゃ緊張するピーナッツくんという流れがあったのでペーペーという言葉の意味合いが結構飲みやすくなったなと。

 最初流し聴いててお経みたいなのが流れてきたのでびっくりした。

 活動の幅を広げるほどにビジネスは人が絡んできますし、その中で理解の追いつけないような話もあったり、それこそヒップホップの世界でも自分より上の人たちをバリバリに見て悩むこともあるのだろうなと。

 普段の動画では見えないピーナッツくんの葛藤、悩みみたいのが描かれた楽曲なのかなと。

 

 あと、最近の『沼ハマ』の時に思い出したのがDJ松永のこの文章。

 

books.bunshun.jp

 

 ピーナッツくんはタレントとしてではなく真剣にヒップホップをやっている、とファンとしては思うのだけどDJ松永はこの葛藤について折り合いをつけたようですが、同じような目線をピーナッツくんに向ける人は多分、残念ながらほぼ確実にいるのだろうなと。

Youtuberがヒップホップにちょっかい出してる、的な。それだけじゃなくて、各種メディア露出の時もそうだろう。

 表に出せないような悩みや葛藤があるんだろうなぁと聴いていて苦い気持ちになる良曲でした。

 

 

TotaKK


 TotaKKがわからない!

 何か元ネタがあるのかな? この記事かいたら色々ググっていきたいところ。

Tamiflu

 

    先行してシングルリリースされた一曲。『幽体離脱』もだけど浮遊感のあるビートにチャンチョは凄い合いますね。

 シンプルにインフルにうなされている時の発想の曲とも思えるけど、やや深読みするなら

 

体熱いけど

頭寒い

わかってるよ わかってるよ

うざいことばっかりなんだよ

 

 熱さと寒さの混在、自分の中に相反する状況があってその渦中で混乱がある。

 このアルバムを通底しているものとしてそんな矛盾した混乱があって、その心境をインフルでタミフル飲んでうなされている時を重ねているのかな〜と。

体調不良なんだけど「くるしい」とかでなくて「うざい」っていうのも意味を見出したくなってしまう(チャンチョ陰謀論者)。

 直後に続く『君に説明したところで』という諦めのような感情もバーチャルYoutuber、ミュージシャンという活動の中での理解されないしんどさ、みたいなものがあるのではないかと。それは界隈外だけでなくて、きっと自分も含めたファン層にもピーナッツくん(やチャンチョ、兄ぽこ、ぽんぽこ)に対しての不理解は存在していて、その「わかってもらえない」孤独感みたいなものとこのアルバムを作っている間、ピーナッツくんは向き合っていたのかな、と少し思う。

 

respawn

 

『Tamiflu』と同じく先行リリースの一曲。ウォクスタだとピーナッツくん個人の自己言及的な曲が目立つんですけど、この曲はぽこピーとして活動を振り返っているようなリリックが印象的。

 

適当なラクガキからびっくりするよなコンビ

ぼくらロックマンエグゼのように

走って飛びこんだよ till morning

 

 バーチャルyoutuberを続けていて、デビューした当初で関わっていた人たちがどんどん辞めていって、それでも迷いながら続けているぽこピーの揺れ動く気持ちの曲なのかなと。

 『Tamiflu』と連続して聴いて思いますが、

 

インターネットと探すエゴ

誰かと話したいよ

テロみたいだ

 

 ウォクスタで歌われる楽曲は常に何処か孤独感がありますね。

 『Respawn』は夕暮れ時を感じるノスタルジーのある曲ですけど、やっぱりここにも気持ちを分かち合えない寂寥感がある。

 1stがピーナッツくんというキャラクターがテーマ、2ndがバーチャル世界への批評、3rdであるウォクスタはバーチャルyoutuberをやっている自分、を題材にしたことでストレートにその葛藤や寂しさも独自の世界観と合わせて出てきたのかな〜と思ってしまう。

 

それにしてもピーナッツくん、どことなく寂しさを感じる曲を手がけると本当に凄いですよね。

アニメの『たんさいぼうのうた』なんかもだけど郷愁を煽るメロと歌詞が鋭すぎる。

www.youtube.com

 

Youngpixar

 

 セクシーなため息から始まるメロウな曲。ちょっとオシャレすぎるな……!

 一見音楽制作の中の悩みと展望って感じだけど

 

能書きが増えるいま

寝れないやこんな日は

 

 ってところにピーナッツくんの『イキり』の裏側があるような気がして、一気に奥行きが出る。

2ndの『Super Chat』とかライブでは盛り上がりまくる曲で、攻めまくった曲ですけどやっぱりそういうかましていくスタイルっていうのは爽快、痛快であると同時に裏側で疲れる部分もあるんじゃないかなと。

 そして

 

 電話ありがとう

 ぼくが入るPoolは

 深くて溺れそうで

 君の声を聞いて…

 

 ちょっと誰よその女!(刀ピーかもしれない)となる。こういう匂わせ的なエッセンス含めて2ndアルバムのB面って色を感じる一曲。

 

PetbottleRocket

 

 『Yongpixar』の終盤の希望を感じさせる歌詞からの突き抜けるような爽快感のこの曲に繋がるのは熱すぎる。ライブでやったら絶対盛り上がる曲。

 ペットボトルロケットってモチーフが良くて、チープでおもちゃみたいなものだけど確かにそれを飛ばす人にとってその存在の魅力ってのは確かに宇宙に届くくらいの勢いがあるものって感じがなのが良い。『グミ超うめぇ』の感想でも書いたんですけど、ここにピーナッツくんの『オシャレさ』の真髄を感じる。

 

enonoki.hatenablog.com

 

 バーチャルYoutuberというちょっと変なおかしな存在のまま、これまでの楽曲であったような葛藤を抱えながらそれでも突き抜けていく。

 

Kids roomより

もっと広い

世界を見据えて

動いてんだ

ここはopen world

 

24時間を抜かして

続きの続きを進んでった

 

というもっともっと広い世界に突き進んでいくぞ、という所信表明を感じる歌詞がビシバシ刺さってくる。

 今回のぽんぽこ24はスタジオ借りてフルトラだったり、テーマが『Future』だったりと、歌詞通りの活動をやっているところが自然と連想されるところもたまらない

 

Walk Through the Stars

 

 アルバム表題作。これが聴けば聴くほど味が出てくる曲で凄い良い。

 

 綺麗な言葉並んだって

 ぼく関係ないことばっかりで

 ノイキャンして乗る電車の中で

 頭には君のことばかりです

 

 綺麗な言葉、が指すのはメタバースとかそういう言葉なんですかね。もしくは裏側でのビジネス的なやりとりの話かもしれない。

 ここでの『ぼく』は兄ぽこなんじゃないかなぁと。そして『君』がピーナッツくん。

 ウォクスタはずっと兄ぽことピーナッツくんの中間で揺れ動く気持ちを歌っているアルバムで、現実のしがらみだったり自分の活動に対しての「これで良いのか?」という葛藤を抱えながらも、それでもやっぱり『ピーナッツくん』という存在を信じる、オシャレにしたいと考えて活動し続ける、ってことなのかなとか色々考えてたら開幕の歌詞だけで感極まってしまうので非常に危険。

 活動についてずっとピーナッツくんは模索しながら、変化しながら続けていて、その中で変わらないものを見つめようとしているのかもしれない。

 

 ただここでこの曲は終わらなくて、曲が進行していくにつれて最初は『兄ぽこ』の視点のように感じていた『ぼく』が自然と『ピーナッツくん』の視点と混ざっていく。

 

何もかもが平面的になっていく

ぼくみたいな奴は滑っていく

突っかかりがないのは

ぼくのせいかもな

 

ここはもう、完全に混ざっている!となる。ここで滑っている『ぼく』は活動に対して手応えを感じきれていないピーナッツくんのことのようにも解釈できて、かつ「ぼくのせいかもな」というのはピーナッツくんをうまくヒットさせられない兄ぽこの葛藤のようにも感じる。

 

 前後するけど

 

映像みたいな景色

ぼくたちだけが残された街

オレ最終兵器

 

 というのはきっと原宿じゃなくて甲賀市で、でもそこから打ち上げてやるぞ、という意気込みを感じてここでも既にピーナッツくんと兄ぽこの境目は曖昧になっている。

 兄ぽことピーナッツくんの対話は擬似的な別人格だけど、内心での対話だ。だから人には伝わらない。

 でも、ピーナッツくんを信じる人にはそれが伝わる。

 

 また後で書くけど『DR_0000_0212.wav』では兄ぽこだけで口ずさむこの曲のサビにはピーナッツくんの返しのフレーズはない。

 でもこのアルバムを聴いてきて、『Walk Through the Stars』を聴いてる私たちにはそのピーナッツくんの返しのフレーズはバッチリ聞こえていて、それは『ピーナッツくん』という存在が兄ぽこの頭の中だけじゃなくて、このアルバムを聴いてきた『ピーナッツくん』というヒーローを信じている人たちに伝わっている、ってことの表現なんじゃないだろうか。

 

 ずっとこのアルバムでは境目の葛藤が歌われていて、その答えは明確にはこのアルバムでは描かれない。

 葛藤についての答えは未来の話で、同時にピーナッツくんの頭の中にだけある『伝わらないこと』だから。

 でも、それがピーナッツくんの音楽活動を通してなら伝わらない人、自分達にも届くし伝わるかもしれない。

 

 そんなピーナッツくんが音楽を続ける本当の意味について模索して、現時点での答えを出す、というのがこのアルバムであり、楽曲である『Walk Through the Stars』なのかもしれない。

 

DR_0000_0212.wav

 

 兄ぽこパート。というか散歩中に思いついたフレーズをスケッチ的に録音したデータを出したものってことなんだろうか。

 これはただのファンサービスとは思っていなくて(もちろんその意味合いもあるだろうけど)、ある意味で答え合わせパートなんじゃないかと思う。

 ウォクスタはずっと兄ぽことピーナッツくんの境目を曖昧にさせて意図的に壊して、再配置(respawn!)しようとするアルバムだったと思う。

 ピーナッツくんと兄ぽこの境目はきっともう本人でも曖昧で、明確に「ここが違う!」と言い切れるものじゃないんだろう。

 でも、こうして一人、ウォクスタのサビをスケッチのように録音するときには楽曲として出てきた『Walk Through the Starsのようにピーナッツくんの返しのフレーズは流れない。ただ、兄ぽこの普段の音だけがある。

 本人でも境目がわからなくなったかもしれないピーナッツくんと兄ぽこの境目、でもやっぱりそれはこうして残された録音にはあってここに存在するのはピーナッツくんではなく兄ぽこだ。

 その要素が何かはわからない。

 でも、兄ぽこはそこにいるけどピーナッツくんがいない状況がある、ということはピーナッツくんをピーナッツくんたらしめる何かも逆説的にある、ということになるはずだ。

 兄ぽこのため息は何処か寂しげだけど、歩いていく音は微かに聞こえる。

 ピーナッツくんが星を歩いていくように、兄ぽこもきっと甲賀市の地面を踏み締めて前に進んでいくんだろう、という感触があって泥臭く、色々な悩みを抱えながらもまだまだ活動をしていく、というニュアンスがあるように思える。

 兄ぽこのその足取りはきっとまたピーナッツくんと重なって、また私たちに様々な活動を見せていくんだろう。

 そう思った。

 過去最高に『生の感触』を出してきたこのアルバムの締めくくりにふさわしいトラックだったと思う。

 

 

総評的な何か

 

『Walk Through the Stars』は過去最高に『今改めてピーナッツくんという存在と向き合ったアルバム』だったのだな、と感想をまとめていて思いました。

 それは収録前の様子、収録の関係のない甲賀市にいる自分への葛藤をも含めた、1stで確立した『キャラクターとしてのピーナッツくん』とはまた違った日々の生活の延長線上のピーナッツくんであり、音楽をやるピーナッツくんであり、そこに混ざり合った兄ぽこをも射程にとらえた『ピーナッツくん』という存在。

 それと向き合う、というのは自らの現在の活動について常に思考を巡らせることでもあり、だからこそ平和堂など滋賀県甲賀市を強烈の想起させる、自分のルーツをもはや隠さないスタンスを前へ前へと出していく。

 そうして向き合った先には必然的に激しいバーチャルyoutuberの世界を生き残った/生き残ってしまった哀愁も生まれてしまう。

 前例のない活動で、それ故にこれから何をやっていけばいいかも正解がわからない。

 そんな葛藤と悩みと苦しみと孤独、そういった狭間の感情を映し出し、そしてその先へ向かう意志のアルバムなのだなと。

 

 それでも『Roomrunner!』に始まり、様々な葛藤、落ち込みを経てからの『PetbottleRocket』で見据えているのは更に先の未来。

自分のようなファンはピーナッツくんの活動の煌めきを動画や配信、イベントで煌めいているところだけ見ているわけで、全てを知ってなんて当然いないわけですけど、それでも音楽を通じてその複雑な葛藤を持つピーナッツくんがこれから作っていく走馬灯をこれからも見ていきたいな、と改めて思いました。

 『Walk Through the Stars』最高でした。

 まだまだ読み取りきれてないところとかもあるのでじっくり聞きながら、色々と感想を見て回ろうと思います。

 ライブ、実はチケット当たっているのでたのしみ。

 

 そんな感じでした。

『Walk Through the Stars』各種サブスクで聴けるのでまだの方はぜひ!

linkco.re

 

 

 

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